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大阪地方裁判所 平成7年(ワ)12256号 判決

原告(反訴被告)

内田準一

被告(反訴原告)

樋口貴士

主文

被告(反訴原告)は、原告(反訴被告)に対し、金一三三万〇八三四円及びこれに対する平成五年六月四日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

原告(反訴被告)は、被告(反訴原告)に対し、金三二万七九二七円及びこれに対する平成五年六月四日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

原告(反訴被告)及び被告(反訴原告)のその余の請求をいずれも棄却する。

訴訟費用は、本訴及び反訴を通じ、これを四分し、その三を原告(反訴被告)の負担とし、その余を被告(反訴原告)の負担とする。

この判決は、第一及び第二項に限り、仮に執行することができる。

事実

第一当事者の求めた裁判

(本訴)

一  請求の趣旨

1 被告(反訴原告)は、原告(反訴被告)に対し、金五九八万三九二九円及びこれに対する平成五年四月二九日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

2 訴訟費用は被告(反訴原告)の負担とする。

3 仮執行宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

1 原告(反訴被告)の請求を棄却する。

2 訴訟費用は原告(反訴被告)の負担とする。

(反訴)

一  請求の趣旨

1 原告(反訴被告)は、被告(反訴原告)に対し、金五〇万八三五〇円及びこれに対する平成五年四月二九日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

2 訴訟費用は原告(反訴被告)の負担とする。

3 仮執行宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

1 被告(反訴原告)の請求を棄却する。

2 訴訟費用は被告(反訴原告)の負担とする。

第二当事者の主張

一  本訴請求の原因

1  交通事故の発生

(一) 発生日時 平成五年四月二九日午後九時五五分ごろ

(二) 発生場所 大阪府大東市津の辺町三番三一号先路上

(三) 加害車両 被告(反訴原告。以下、単に「被告」という。)が保有し、かつ、運転する普通乗用自動車(登録番号大阪七八ぬ八二八一、以下「被告車両」という。)

(四) 被害車両 原告(反訴被告。以下、単に「原告」という。)が運転する自動二輪車(登録番号大東市は三二六六、以下「原告車両」という。)

(五) 事故の態様 原告車両が国道一七〇号線上の深野遊水池東交差点を北から西に向けて右折しようとして交差点内に待機していたところ、北から南に向けて走行してきた被告者両に後方から追突された。

(六) 原告の受傷 原告は、本件事故により、右下腿骨骨折(内果、腓骨)、左鎖骨骨折、全身打撲、左助骨骨折、左下肢血栓性静脈炎等の傷害を負つた。

2  責任

(一) 被告は、被告車両の保有者であつて、自動車損害賠償保障法(以下「自賠法」という。)三条により、原告が被つた後記損害(人的損害部分)を賠償する責任がある。

(二) 被告は、前方を注視し、適正な速度で進行しなければならないのに、これを怠り、法定速度に違反して進行するとともに、前方に原告車両が右折待機中であることを認めることができたにもかかわらず、これを見落とし、本件事故を発生させた過失があるから、民法七〇九条により、原告が被つた後記損害を賠償する責任がある。

3  損害

(一) 治療関係費

原告は、本件事故により、医療法人徳州会野崎病院に平成五年四月二九日から同年六月三日まで及び同年一一月九日から同年一三日まで合計四一日間入院し、同年六月四日から同年一一月八日まで及び同月一四日から平成六年二月七日まで(実日数三七日間)通院し、治療費合計一一八万五二五〇円のうち健康保険負担分九五万二七〇〇円を除いた二三万二五五〇円を負担した。

(二) 入院雑費

前記(一)のとおり、原告は合計四一日間入院し、少なくとも一日当たり一三〇〇円の雑費を必要とした。

(三) 付添看護費

原告は、入院していた間、身体の自由を欠き、付添看護(一日あたり四五〇〇円)を必要とした。

(四) 通院交通費

車両ガソリン代

(五) 文書料

後遺症診断書作成費用

(六) 休業損害

原告は、本件事故前、日泉総合管理株式会社に嘱託勤務していたところ、本件事故のため、身体の自由が利かなくなつたため、解雇されたが、労働の意思も能力もあつたのだから、少なくとも、五九歳に相当する平均賃金を基準として、休業損害が認められるべきである。

平成四年度賃金センサス第一巻第一表の産業計・企業規模計・男子労働者・学歴計の五五歳から五九歳の年額賃金六〇五万七五〇〇円を算定の基礎とし、入院中については一〇〇パーセント、通院中(症状固定日までの一七四日間)については七〇パーセントとして、算定すると、右のとおりである。

(算式)6,057,500÷365×41+6,057,500÷365×174×0.7

(七) 後遺障害による逸失利益

原告は、本件事故により、股関節の可動域制限、疼痛を残して、平成五年一一月二九日症状固定し、この後遺障害は、少なくとも後遺障害等級一四級に相当し、原告は、三年程度、その労働能力の五パーセントを失つた。

原告は症状固定時の平成五年一一月二九日当時満五九歳であつたから、平成四年度賃金センサス第一巻第一表の産業計・企業規模計・男子労働者・学歴計の五五歳から五九歳の年額賃金六〇五万七五〇〇円の算定の基礎とし、ホフマン式計算法により、労働能力を喪失したと解される三年間の年五分の中間利息を控除し、原告の得べかりし逸失利益の現価を算定すると、右のとおりである。

(算式)6,057,500×0.50×2.731

(八) 慰謝料 一八〇万〇〇〇〇円

(1) 入通院慰謝料 一〇〇万〇〇〇〇円

原告は、本件事故により、前記(一)のとおり入院及び通院を余儀なくされた。

(2) 後遺症慰謝料 八〇万〇〇〇〇円

(九) 物的損害 二〇万〇〇〇〇円

原告所有の自動二輪車は全損となり、他に、着衣も損傷を受けた。

(一〇) 弁護士費用 六〇万〇〇〇〇円

よって、原告は、被告に対し、自賠法三条(物損部分は除く)又は民法七〇九条に基づく損害賠償として、右損害合計額六六〇万七四〇三円から、自動車損害賠償責任共済から受領した六一万五八五四円を控除(物損部分は除く)した残額である金五九九万一五四九円のうち五九八万三九二九円及びこれに対する平成五年四月二九日から支払済みまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二  請求の原因に対する認否

1  請求の原因1のうち(一)から(四)の事実は認め、(五)の事実は否認し、(六)は不知

2  請求の原因2のうち、被告が民法七〇九条又は自賠法三条の責任を負うことは争わないが、過失の態様は否認する。

3  請求の原因3はいずれも争う。

三  本訴請求の原因に対する抗弁

1  過失相殺

本件南北道路の制限速度は時速五〇キロメートルであるところ、原告は、本件事故前に飲酒していた上、本件片側三車線道路(右折車線を含む)の中央車線を速度六〇ないし六五キロメートルで走行し、本件交差点に進入後、ウインカーを出さずに右方にハンドルを切つたのであつて、原告の過失は七割以上というべきである。

2  損害のてん補

原告は、自動車損害賠償責任共済(以下「自賠責」という。)から右金員の支払いを受けた。

四  抗弁に対する認否

1  抗弁1は争う。

2  抗弁2は認める。

五  反訴請求の原因

1  交通事故の発生

(一) 発生日時 本訴請求の原因1(一)と同じ

(二) 発生場所 本訴請求の原因1(二)と同じ

(三) 加害車両 原告車両

(四) 被害車両 被告が所有する被告車両

(五) 事故の態様 被告が、本件南北道路の片側三車線道路(右折車線を含む)の中央車線を時速六〇ないし六五キロメートルで走行していたところ、原告が、本件交差点に進入後、ウインカーを出さずに右方にハンドルを切つたため、被告が急制動をし、ハンドルを右に転把したが間に合わず、原告車右側中央付近と被告車左前角とが衝突した。

2  責任

原告は、飲酒の上、運転中に急に右ハンドルを切つて、本件事故を発生させた過失があるから、民法七〇九条により、被告が被つた後記損害を賠償する責任がある。

3  損害

(一) 車両修理費 四五万八三五〇円

(二) 弁護士費用 五万〇〇〇〇円

よつて、被告は、原告に対し、民法七〇九条に基づく損害賠償として、五〇万八三五〇円及びこれに対する平成五年四月二九日から支払済みまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

六  反訴請求の原因に対する認否

1  反訴請求の原因1(一)ないし(四)は認め、(五)は否認する。

2  反訴請求の原因2は争う。

3  反訴請求の原因3は不知ないし否認する。

第三証拠

本件訴訟記録中の書証目録及び証人等目録中の各記載を引用する。

理由

第一(本訴について)

一1  請求の原因1のうち(一)から(四)の事実及び請求の原因2のうち、被告が民法七〇九条又は自賠法三条の責任を負うことは当事者間に争いがない。

2  原告の損害について

(一)  治療関係費 二三万二五五〇円

原本の存在及び成立に争いのない甲第四、第五号証の一及び第六号証によれば、原告が本件事故により負つた傷害の治療のために、症状固定日である平成五年一一月二九日までに右金額を支出したことを認めることができ、この限度で原告の主張は理由がある。

(二)  入院雑費 五万三三〇〇円

前掲甲第四、第五号証の一及び第六号証によれば、原告が、医療法人徳州会野崎病院に平成五年四月二九日から同年六月三日まで及び同年一一月九日から同月一三日まで合計四一日間入院したことを認めることができ、入院一日あたり一三〇〇円の雑費を必要としたと解するのが相当である。

(三)  付添看護費 一六万二〇〇〇円

成立に争いのない甲第一〇号証及び原告本人尋問の結果によれば、原告は、前記(二)の入院期間のうち平成五年四月二九日から同年六月三日まで三六日間については付添看護を必要としたことが認められ、原告の年齢、傷害部位及び程度等に鑑みれば、付添看護料として入院一日あたり四五〇〇円が相当である。

(四)  通院交通費 五〇〇〇円

前掲甲第四、第五号証の一、第六号証並びに原告本人尋問の結果によれば、原告が本件事故により負つた傷害の治療のために、医療法人徳州会野崎病院に平成五年六月四日から同年一一月二九日まで一七四日(実通院日数二七日)通院したことを認めることができ、右期間中の通院のために要する交通費として右金額が相当である。

(五)  文書料 三〇九〇円

原本の存在及び成立に争いのない甲第五号証の二及び原告本人尋問の結果により真正に成立したことの認められる甲第八号証によれば、原告は、後遺診断書作成費用として右金額を支出したことを認めることができる。

(六)  休業損害 二一六万一四四八円

原告本人尋問の結果及び弁論の全趣旨によれば、原告は、昭和九年五月一日生まれで、平成四年まで大阪市環境事務局に勤務していたこと、本件事故当時、日泉総合管理株式会社に嘱託勤務し、保安要員として稼働していたが、本件事故の後は、同社から給料をもらつていないこと、本件事故後、早期に職場に復帰できないと自動的に解雇になるので、迷惑がかかると考え、その前に辞職したこと等の事実を認めることができ、右の事実に前記(二)及び(四)の事実を併せ考えれば、原告は、平均賃金の八割程度の収入を、入院中の四一日間は一〇割、症状固定までの通院中一七四日間は七割失つたと解するのが相当であり、甲第一三号証は原告の本件事故当時の勤務の収入に関するものではないと解されるから右認定を左右するに足りるものではなく、他に右認定に反する証拠はない。

平成四年度賃金センサス第一巻第一表の産業計・企業規模計・男子労働者・学歴計の五五歳から五九歳の年額賃金の算定の基礎とし、算定すると、次のとおりとなる。

(算式)6,057,500×0.8÷365×41×6,057,500×0.8÷365×174×0.7

(七)  後遺障害による逸失利益 六六万一七二一円

前掲甲第六号証、原告本人尋問の結果により真正に成立したことの認められる甲第七号証並びにに右供述によれば、医療法人徳州会野崎病院の野崎龍生医師が作成した平成六年二月二一日付け自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書には、原告が平成五年一一月二九日に症状固定に達し、平成六年二月七日現在、原告には右股関節の疼痛、特に外旋時に訴え、あぐらをかけない等の自覚症状があり、股関節の可動域制限(屈曲(自動)右五〇、左八〇、(他動)右六〇、左八〇、外転(自動)右三〇、左四〇、(他動)右三〇、左四〇、外旋(自動)一五、左四〇(他動)右二〇、左四〇)、右症状は持続すると思われる等の記載があること、原告には右症状をもたらすような既往症がないこと、右症状のため原告は、あぐらをかけず、和式トイレを使用できない不便を感じていること、同医師は、原告の股関節の障害の原因について、本件事故の受傷により長期にわたり不自然な歩行を強いられ、慢性の仙腸関節機能異常を引き起こしたためと考え、治療に一応反応するが効果が持続しないこと、原告の就労上、右症状は特に重労働でない限り問題はないとしていること等の事実を認めることができ、これらの事実によれば、原告は、症状固定時から三年間にわたり、その労働能力の五パーセントを喪失したものと解するのが相当である。前記(六)の平均賃金の八割程度の額を算定の基礎とし、ホフマン式計算法により、年五分の中間利息を控除し、原告の逸失利益の現価を算定すると、右のとおりである。

(算式)6,057,500×0.8×0.05×2.731

(八)  慰謝料 一八〇万〇〇〇〇円

(1) 入通院慰謝料 一〇〇万〇〇〇〇円

前記(二)及び(四)のとおり、原告は、本件事故により、通算四一日入院し、かつ、二七日(実日数)通院したことを認めることができるから、入通院慰謝料としては右金額が相当である。

(2) 後遺症慰謝料 八〇万〇〇〇〇円

(九)  物的損害 一四万〇〇〇〇円

原告本人尋問の結果により真正に成立したことの認められる甲第九号証、弁論の全趣旨により真正に成立したことの認められる甲第一二号証及び右供述並びに弁論の全趣旨によれば、原告は、本件事故により、その自動二輪車等に損傷を受けたことが認められ、その損害額は合計一四万円が相当であると解されるので、右の限度で原告の請求は理由がある。

二  抗弁について

1  過失相殺について

原本の存在及び成立に争いのない甲第二号証の一及び二、原告本人尋問の結果により、原告本人が平成七年五月三一日に本件現場付近を撮影したものであることが認められる検甲第一号証、原告及び被告各本人尋問の結果(ただし、原告のそれは一部)並びに弁論の全趣旨を総合すると、

本件交差点は、信号機により交通整理が行われており、付近の道路は市街地に位置し、アスフアルト舗装され、平坦で、本件当時は乾燥しており、街灯等でやや明るいこと、南北道路は時速五〇キロメートルに速度規制され、南行車線は本件交差点北側で三車線(右折車線を含む)に区分されていること、本件交差点付近における南北道路の南方向の見通しは良いこと、被告は、本件南北道路の南行三車線の中央車線を時速約六五キロメールで進行していたところ、別紙図面〈1〉で前方五六・六メートルの交差点内を原告車両〈ア〉が南進しているのを認めたこと、この時、原告車両のウインカーは点滅していなかつたこと、被告車両が〈2〉の地点で原告車両〈イ〉が進行方向右方に寄つてきたため、被告が急制動及び右にハンドルを転把したが間に合わず〈3〉地点で原告車両〈ウ〉と〈×〉で衝突したこと、本件事故により、原告車両の右側面カウリング擦過及び凹損等の破損が、被告車両の左側フエンダー凹損擦過、左前バンパー角擦過等の破損がそれぞれ生じたこと、本件事故後、司法警察職員が実施した実況見分では、原告車両の実験は破損等により不能とされ、実況見分調書に原告車両の方向指示器の異状の有無は記載されていないこと、原告は事故前にお湯割り二杯及びビール中瓶一本を飲んでいたこと、被告立ち会いの実況見分は平成五年四月二九日に実施され、本件現場に、被告車両の右前輪のスリツプ痕二〇・四メートル及び左前輪一六・八メートルの二条が残され、右二条のスリツプ痕の始点は、いずれも被告車両が走行していた前記中央車線を延長した地点内にあつたこと、原告立ち会いの実況見分は、平成五年六月二五日に実施され、当時も交差点中央付近の路面にスリツプ痕が残存し、原告は、これが被告車両の左側車輪のものでなければならないような事故態様の説明をしていること、原告の指示説明によると被告車両の左側車輪のものになるはずのスリツプ痕は、事故直後に実施された被告立ち会いの実況見分時に存した被告車両の二条のスリツプ痕のうち右側前輪のものに対応すること等の事実を認めることができ、右認定に反する甲第二号証の二の記載部分及び原告の供述部分は本件事故当時原告が飲酒していたことや原告立ち会いの実況見分の実施日時等に鑑み、いずれも採用することができない。

右の事実によれば、本件事故は、被告車両より先行していた原告車両が、本件交差点内でウインカーを点滅させず、急に右方に進路を変更したため生じたものといわざるを得ず、本件事故に関する原告及び被告の過失割合は、本件事故の態様、車両の速度等を総合考慮すれば、原告の六・五、被告の三・五と解するのが相当である。

2  抗弁2は当事者間に争いがない。

三  前記一記載の損害額の合計金五二一万九一〇九円に対し同二1記載の過失割合に基づき過失相殺を行つて得られた額金一八二万六六八八円から同二2の損害てん補額を減ずると金一二一万〇八三四円となる。

四  弁護士費用

弁論の全趣旨によれば、原告は、原告訴訟代理人に対し、本件訴訟の提起及び追行を委任し、弁護士費用を支払うことを約したことを認めることができるところ、本件事案の性質、認容額その他諸般の事情を考慮すると、本件不法行為による損害として被告に負担させるべき弁護士費用は一二万円とするのが相当である。

第二反訴について

一  反訴請求の原因1(一)ないし(四)は当事者間に争いがない。

二  事故態様は、前記第一の二の1のとおりであり、本件事故の発生については、原告にも過失が認められる。

三  成立に争いのない乙第一号証によれば、被告が本件事故により、被告車両を破損し、その修理費が四五万八三五〇円であることを認めることができる。

四  本件事故の過失割合は前記第一の二の1のとおりであり、前記三の損害額に対し、右過失割合に基づき過失相殺を行うと二九万七九二七円である。

五  弁論の全趣旨によれば、被告は、被告訴訟代理人に対し、本件訴訟の提起及び追行を委任し、弁護士費用を支払うことを約したことを認めることができるところ、本件事案の性質、認容額その他諸般の事情を考慮すると、本件不法行為による損害として被告に負担させるべき弁護士費用は三万円とするのが相当である。

第三結語

以上のとおりであつて、原告の本訴請求は、金一三三万〇八三四円及びこれに対する平成五年六月四日から支払済みまで年五分の割合による金員の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し、その余は理由がないからこれを棄却し、被告の反訴請求は、金三二万七九二七円及びこれに対する平成五年六月四日から支払済みまで年五分の割合による金員の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し、その余は理由がないからこれを棄却し、訴訟費用の負担について民事訴訟法八九条、九二条を、仮執行の宣言について同法一九六条をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 石原寿記)

別紙図面 交通事故現場の概況 (三)現場見取図

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